ならやたかし「ケンペーくん」(ジャパン・ミックス/C)


非常に特異な設定の漫画である。
簡単に言えば、五十年前の世界から復活した主人公の憲兵が、世の乱れを正すと言って片っ端から邪魔者を斬っていく話だ。電車で乗客に絡む男を斬り、暴走族を斬り、サーファーを斬り、遊び呆ける学生を斬っていく。作者が言っているように、これは作者の怒りを素直に表現したものであるから、考え方は偏っているといえば偏っている。六十年前ならいざしらず、これを現代で描くあたりが面白い。笑えることは笑える。ちなみに、カバーを取ると旭日旗にタイトルが描いてある。
一つ気になるのは、そんな作者の本業がポルノ作家であるということだ。どうしてもこの漫画とポルノが結びつかないのだが、そんなものなのかもしれない。