「眼球綺譚」(綾辻行人集英社文庫) ★★★★★
 懐かしい本です。単行本の発刊が1995年ですから、存在を知ってから9年越しに読んだことになります。
 今は無きパズル雑誌に「パズラー」というものがありますが、その9年前の号の新刊案内で、この本が紹介されていたのです。確か、そのとき同時に紹介されたのが養老孟司の「『図説』人体博物館」(11月7日に読了)だったと記憶しています。
 さて、そんなこんなで読んでみたわけなのですが、ホラー小説としては一級として良いでしょう。7つの短編からなる短編集であり、一つ一つがいい味を出しています。食の狂気を扱った「特別料理」などは、短編ながら雁屋哲の「究極の美食」の倍は優れた作品です。途中までナーンダと思わせて、最後の最後であっといわせる構成力にやられました。