• 若島正「盤上のファンタジア」(河出書房)

ようやく並べ終わったのだけれども、これはもう何と形容したら良いのだろう。私が知っているのは詰将棋のほんの一片だったということを思い知らされた。予想外の展開を見せる一問目の一手詰から始まり、少ない駒数の盤面に凝縮された間駒を始めとする手筋の数々にはただただ驚嘆するより他ない。

朝日新聞に週刊で連載されていた天野氏のエッセイ集。以前読んだのは86年から88年までのものだったので、これはその続編に当たるといって良い。相変わらずCMをネタに世相を切ることが多い。
以前読んだCMエッセイにあったトステムの怖いCMは、ここでも取り上げられている。しかも、ストッキングをかぶって今にも家に入ってこようとする男のアップの画像である(p153)。これは確かに怖い。中止にするほどのことはないと思うが、怖いには違いない。

「マヨヒガ」についてきちんと知っておこうと思って読んだだけなのだが、それ以外の話も中々面白い。つまらない話はそもそも伝承として残らないとは思うけれども。

相変わらず救いのない内容。主人公が脱法ドラッグの過剰摂取で病院に運ばれたのを機についに実家に帰ることになり、いつもの人々も真人間になろうとするものの、その先にはまだまだ難題が残っている。
それにしても「ちょいオタ」のイメージキャラクターにジローラモを起用するのはどうなのかと。