図書館に本を帰しに行った帰り道、吉祥寺の本屋に寄ったついでに本を三冊ほど購入した。
帰宅して早速本を読もうと思ったのだが、なんとなく荒んでいるのに「ドグラ・マグラ」はまずいだろうから、最初はラノベを読みきっておくことに。


あすか正太初恋マジカルブリッツ いいからあたしに恋しなさい!」(集英社


前作の帯で女の子は読まないでと書いたら宣伝部からツッコミをもらったそうで、今回はむしろ宣伝のターゲットをそちらに絞っている。男はほっといても読むだろしねえ。少女漫画を読む男と理屈は同じではなかろうかと。
ということで、リリスの欠片をもっているがゆえに命を狙われる少年と、少年を取り巻く少女たちの話のシリーズ二作目。イラストは前回と同じく天広直人。今回は戦闘シーンが少なめで恋愛譚が多めになっている。どちらがメインなのだろうかという事はさておき、あいかわらず悶えるような描写が多くって……私としてはこの、のた打ち回りたくなるような描写が肝だと思っている。もちろん、それだけではメッセージ性に配慮していないから読みが浅くなるのだけれども、エンタテインメントとしてはそちらのほうが需要であるわけで。
……というより、メッセージ性については、この著者の場合基本的に一貫しているから読み落とすはずは無いんだよね。ええ、要するに前向き志向というお話。もっともこの場合は恋愛譚の特性上、心理面云々のエピソードも多い。鈴蘭の変化あたりがその最たるもの。最初期は設定上、冷厳なキャラだったものなあ。あまりの変貌振りにヒロインの存在が霞んでいる気がしないでもない。それはそれで良いか。




さて。
私としては最後の最後のシーンがお気に入りだというのは言うまでも無い。悲劇的な傀儡の最期という展開は必然的に琴線に触れるわけで、最後の朽ち果てゆく人形のイラストと合わせて妖艶なるものを感じ取ったのは私だけではあるまい……何となくゾクゾクしてきた。