「読書と映画鑑賞が趣味だ」というのは無趣味に等しい、とは某氏の言ですが、それでも良いような気がします。むしろ、無趣味と思われたところでマニアックなネタをかましてビビらせたほうが好都合ではないかと。
 そんなことはさておき、今日は久しぶりに映画館に行ってきました。


 「雲のむこう、約束の場所」(新海誠・監督)
 前作「ほしのこえ」で一躍有名になった新海誠氏の新作アニメーション。


 一言でいえば、「考えるんじゃない、感じるんだ」という映画でした。


 ストーリーについては公式サイト(http://www.kumonomukou.com/)に掲載されているので、あえてここで繰り返すようなことはしません。
 画風、ストーリー、音の三要素がちょうど巧い具合に絡み合って、一つの有機体を構成しているような、そんな映画です………って、なんのこっちゃ分かりませんね。
 批判的に見るならば、ありがちなストーリーと言えないこともありません。少年の夢の過程を描いた話なんて山のようにありますし、少年少女の恋物語なんてものも、やはり山のようにあります。しかし、そんな普遍的な要素を組み合わせ、作家独自の世界観を加味することによって、観客をスクリーンに引き込む力がある作家は多くはいません。新海氏はそうした作家の一人でしょう。
 ここでいうなら、謎の塔の「目的」こそが、「作者らしさ」ということになると言えます。ただ、これを言うとネタバレになってしまうので書きようがありません。見た後で、何のためにあの塔は建てられなければならなかったのかということに思いをはせるのも一興ではないでしょうか。 
 結局、向こうの世界には何があったんでしょうね。


 とにかく、いいアニメでした。はい。


 なお、この作品の上映館は非常に少ないです。現時点でわずか12館。私が見に行った映画館は渋谷の「シネマライズ」なのですが、客席が38。うーむ、もったいないぞ。