逆境ナイン
監督:羽住英一郎


これは素晴らしい。私の知らない間にこんな面白い映画が上映されていたとは、今更になって見た事を後悔している。もっと早く観ておくべきだった。あるいは今更とはいえ見られた事を感謝すべきか。
とにかくゴタクをならべて評価できるようなものではない。この映画は、とにかくアツい。アツ苦しいほどにアツい。「野球部廃部の危機」「サッカー部の横暴」「次々と選手を葬り去る最強の対戦相手」「次々と倒れていく他のメンバー」……それら野球部に次から次へと襲い掛かる逆境、その艱難辛苦を乗り越えるアツい男気。そして藤岡弘、演じる校長の名演技、さらにココリコ田中演じる監督の魂の名言。まさにそれらが完璧に溶け合い、混じりあい、ブリリアンカットを遥かに凌ぐ、輝ける結晶として現前したのがこの映画である。
いやはや、恐れ入った。ぬるま湯にどっぷり浸かってそれなりにのんべんだらりとした生活を送っていたのに、地底からマグマで熱せられたようだ。このアツさが映画、これこそが映画の真髄、そうとも映画は斯くあらねばならぬ。
バカバカしいといえばバカバカしい。現実の高校野球で112点を一人で逆転できる人間などあるはずもない。しかし、だからこそ「映画」に価値がある。映画にしか表現できないものがある。それをひしひしと感じさせられた。


あ、文体が敬体から常体になってしまった……まぁ、それだけ面白い映画だったということです。


【ウォルター少年と、夏の休日】
監督:ティム・マッキャンリーズ


あまり期待せずに見たのですが、これはなかなかの佳作でした。
冒険譚と成長物語といったところでしょうか。まだ幼い頃のハーレイ・ジョエル・オスメントの演技もなかなか見物です。最近交通事故を起こして顔写真が載りましたけど、もう既に昔の面影は……


【女子高生チェーンソー】
監督:ジョン・ホフマン
……なかなかB級な映画でした、良い意味で。ストーリーはといえば、女子高生の一行が車で旅行中にガス欠になってしまい整備工場へ。ところがそこに謎の殺人鬼が現れて次々と生徒が殺されていき……といったものなのですが、これはもう苦笑。セットの安っぽさ、ストーリー展開の凸凹ぶりなどなど、もうどこから突っ込んだらいいのか分かりません。まあ、そこが面白いのであり、B級映画ならではの醍醐味なんですけどね。
ところで、どのあたりが「チェーンソー」なんですか?