さて、とうとうナショナルのファンヒーター回収告知CMの放映が開始された。これにあわせて松下電器の公式サイトでも普段の商品プロモーション映像の配信を止め、告知CMに差し替えている。
すでに冬の寒さも厳しくなり、いよいよファンヒーターが本格的に使われるようになる時期であるため、一刻も早い回収が望まれるところだ。これ以上の事故を防ぐためには、当然の措置といえよう。


ところで、ナショナルの回収告知CMについては以下の5つのバージョンがあるそうだ。
1.15秒バージョン(最後の電話番号の文字が黒)
2.15秒バージョン(最後の電話番号の文字が青)
3.30秒バージョン
4.60秒バージョン
5.北海道バージョン(図解のときに煙突が登場する)
今のところ、5以外は全て確認した。National枠では長いバージョンも流されているようだが、一般的には15秒バージョンがもっとも流されているようだ。もっと詳しく言うと、私の住む関東地方では15秒黒バージョンが主流のようである。


私の場合で言うと、朝から断続的に放映されているから、テレビを点けっぱなしにしていると嫌でも目に付く。朝のワイドショー番組を見ていたら、わずか3分ほどの間に15秒バージョンが4回ほど放映されるのを見たくらいである。緊急事態であるから、これくらいはやむを得まい。


(と思ったら、たった今、15秒黒バージョンが流れてきた。)


(次の文面考えていたらまた流れてきた)


どうやら本当に集中的に流しているらしい。
ところでこのCM、深刻な内容であり尚且つ緊急に作られたCMであるがゆえ、非常に簡素であり、ナレーションの深刻さと相まって「妙な不安感を煽る」CMになっている。最初は物珍しさで見ていたとしても、だんだん怖くなってくる。かつてのサンヨーのファンヒーターCMもこうだったのだろう。二度とこのようなCMが流れることのないよう、気を引き締めてこのCMに向かわなければならない。
さて、今だからこそ経験として言えるが、楽しげなCMの合間をぬって流される深刻なCMというものは見るものの注意を一気に集めずにはおかない。そしてその注意の喚起は純粋に情報伝達へと繋がっていく。すなわち、普段なら省みられることも無く、挙句の果ては「無くなれ」とまで言われてしまう「テレビCM」というものが、その本質的役割である「告知」を純粋に果たしている姿である。徒にCGを使うでもなく、有名人のビジュアルに依存するでもない。「あのアイドルを見たいから」「あのCGが綺麗だから」CMを見るのではない。そうした本質的でない視聴動機を喚起するのではなく、ただCMがCMとしてそこに存在するのである。これは今となっては貴重な例であるといえよう。