本田透電波男」(三才ブックス


読んだとも。ああ、読んだともさ。
「読んだとも」というよりは「読んじまったとも」のほうが適当かもしれない。


内容は非常に分かりやすい。すなわち、オタク賛美である。それでもって三次元批判である。もう少し細かく言えば、「金と地位に振り回される現実」を批判して「精神世界を重視する二次元世界」を賛美するということになるだろうか。著者に言わせれば現実の恋愛なんて、金と性交渉で成り立っているだけだ、ということであり、そのあたりを妙にマニアックなネタとエピソードをちりばめて語っている。
個人的に面白いと思ったのは「都井睦夫には『萌え』が必要だった」と主張するあたりだろうか。私も都井に関する主張はいろいろ見てきたつもりではいるが、『萌え』を導入せよという主張を見たのはこれが初めてだ。実際にこれが出来るかどうかはともかく、これはこれで面白い主張である。
個人的には都井睦夫を『萌え』好きにする暇があるなら、チカチーロに萌えアニメを渡すべきではかなかろうかと思うのだが。二次元をルサンチマンの捌け口として捉えるなら、彼は最も適当な人物だと思う。都井が殺したのは大人だし、許されざるとはいえ恨みが募っての反抗だったからね。単純に捌け口としての殺人を阻止しようとするのなら、無差別殺人のほうに注目すべきだろう。


なんだか話題がずれたので元に戻そう。
全体として、若干二元論が強引な気がしないでもないが、読み物としては面白い。
ただ、この本の最大の問題は、オタでない人が読むのだろうかという点である。いや、作者の妄想が結構入っているもので……