そういえば、6日ぶりです。


綾辻行人十角館の殺人」(講談社文庫)


星印による評価はしばらく行わないことにします。良書を読んで読んで読みまくり、己が客観的な書評をするに値する読書家であると確信する時までは。


と言うわけで本作なのですが、久方ぶりに読む手が止まらなくなってしまいました。孤島というシチュエーション等が『そして誰もいなくなった』と重なるところがあるからでしょうか。それとも多少マニアックな台詞を含む構成のせいでしょうか(「バールストン先行法」などは注釈も無しに出てきますし)。私などは途中で邪推に邪推を重ねて、結局は犯人を読みそこなうということになって、ずいぶん悔しい思いをしています。


要するに最後の方に出てくる、「あの」台詞でナルホドと思わされたときの衝撃が抜けきれないわけですよ。あぁ、そうか。その手がありやがりましたか、と言う感じで。しかも、ゴタゴタと理屈を並べるのではなく、たった一言でそれを表現しているわけですし。


そしてまた、最後の鮎川哲也の解説が身に染みまして。批評家をたしなめる件がなんとも言えません。新人をボロクソに批評した場合と、悪いところを指摘しつつ見守る場合とでの、後々の差については身に覚えの一つや二つはありますし。


故に、今回については私の完敗。