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「ヤコペッティの続・世界残酷物語」
監督:グァルティエロ・ヤコペッティ
ヤコペッティといえばモンド映画の第一人者。世界中の珍しい風習を撮影し、それを世界に紹介している。
ただ、ヤコペッティは「やらせ」で有名な映画監督でもある。奇習を追い求めるのではなく、自分で作ってしまうわけだ。それでも観客はたいてい何も言いはしない。興味本位で観ている観客にとっては、非日常が見られさえすればそれで良いのだから。
「世界残酷物語」はタイトルどおり残酷なフッテージが多かったようだけれども、本作は残酷なところは比較的少ない。サイゴンの僧侶チン・ティエン・ディエンによる焼身自殺の場面は残酷なのだろうが、「やらせ」だと分かっているからねぇ。少なくとも、血肉に塗れた残酷なシーンはあまりないと言っていい。むしろ奇習の方に重点が置かれている。細かいシーンのつなぎあわせなので、細かいことは略す。
ハイドパークのスピーカーズコーナーの映像は初めて見た。単に叫べる場所というだけであって、ステージなどがあるわけではないのか。
「ザ・ショックス3〜アメリカの憂鬱〜」
衝撃的というより、笑える。
海外のドキュメンタリーのナレーションだけを変えたものらしく、どう見てもショックスシリーズの他の作品とは全く違う。手を抜いたのか、面白いから紹介したのか、どっちだろう。
タイトルにもあるように、内容はアメリカの奇習を追いかけていくというもの。モンドムービーとしてアメリカを取り上げるというのは珍しいね。「知らないものを取り上げる」のではなく、「知っているはずのものの知られざる側面を取り上げる」わけだから、意外であるには違いないが、いわゆる「衝撃映像」とはまったく趣を異にしている。正確に言えば「知っているはずのものの知られざる側面を取り上げる、という立場に立ってデタラメをとりあげる」というスタイルだと思うけど。
個人的に面白かったものを下にメモしてみる。
- 13分 シスターの格闘技。
「(治安の悪化するアメリカで)シスターたちの取った防衛手段。それは東洋の武術!!」
そういってシスターが少林寺拳法や空手をするシーンが登場する。瓦割りなどほんの序の口、プロ相手にキックはするわ背負い投げはするわ、もう滅茶苦茶。もちろん僧衣は着用したまま。
- 20分
車社会アメリカの紹介。毎週日曜日の礼拝は車に乗ったまま参加し、葬式の祭にはショーケースの中に棺を納めて車に乗ったままで通り過ぎて冥福を祈る。まさに車社会。
- 40分
アメリカの市長選挙に立候補したロック好きの素人の話。そういえばマイケル・ムーアが木の植木鉢を選挙に立候補させて最多得票を獲得したという話があったね。「アホでマヌケなアメリカ白人」のドキュメンタリーで見た覚えがある。
- 58分
変化する性行為の手ほどきをする高齢者向けのクリニック。
ためになるのは分かるが、頼むから服を着てくれ。
以下略すが、そういうアレなネタが延々と続く。
- 69分
麻薬崇拝の新興宗教。
- 74分
悪魔崇拝。黒ミサ。
これは個人的に好き。
- 77分
冷凍保存技術。
ウォルト・ディズニーやオナシスも冷凍保存されているらしい。オナシスが復活したらどうなるんだろうなあ……そのころは宇宙産業に参入するのだろうか。