長山靖生千里眼事件」(平凡社新書


いつだったか薦められたのを思い出して読んでみた。
千里眼」というのは要するに透視のことで、明治末期にブームになった。その火付け役になったのが御船千鶴子という女性。その能力を福来友吉という科学者が実験で試し、見事に実験に成功したためにブームを引き起こすこととなった。ただし、ここには疑惑が耐えなかった。実験方法を指定してくる、実験の再現に必ずしも成功するわけではない等、必ずしも完全な実験を行うことが出来たわけではないのである。しかし、マスコミを含め周囲は御船の能力を持ち上げ、さらに別に千里眼の能力を持つと言い出す者まで現れるようになってますます騒動は大きくなっていく。そうした顛末を当時の新聞などの資料を示して詳細に解説している。